旅の自由を奪う“安保法案”は廃案に!
旅の世界からの緊急アピール
−自然環境や歴史・文化など観光価値も破壊する戦争はダメです−
「安保法案」の廃案を求める旅行・観光関係者有志
戦後70年の間、戦争をしない国を貫いてきた日本のあり方がいま、根底からくつがえされようとしています。“違憲の安保法案は廃案に”の声が空前のうねりとなって全国津々浦々に拡がり、この列島の夏をさらに熱くしています。戦争する国への転換に世代と分野を超えて危機感が共有されています。こんなことは、国民にとって恐らく初めての経験でしょう。
私たち旅を愛し旅行・観光に携わる者として、この日本が戦争に関わろうとしているのを黙って見過ごすことはできません。
日本は戦後、不戦の誓いと平和憲法によって、戦争を放棄した“特別な国”としての世界の評価が定着しています。それは、日本人の安全な海外渡航や積極的な国際協力活動を支え、国内でのテロのリスクを抑えるなど大きな役割を果たしてきました。それでも、9・11テロや集団的自衛権行使の名でアフガン戦争、イラク戦争などが勃発すると、渡航や国際協力の機会も制約を受けざるを得ませんでした。旅や交流を楽しむには、平和で安全な環境が絶対に必要です。
いっぽう、異文化の人々との友好・親善の交流は“平和の礎”になります。国連は、1967年の国際観光年に平和維持に貢献するものとして国境を越えた観光往来の促進を強く世界に訴えました。まさに“旅は平和へのパスポート”です。これが、平和外交とともに最大の戦争抑止力になります。
安保法案は、武力行使を禁じた憲法に違反し、先制攻撃も辞さないもので、自衛隊員はもちろん国民にもテロなどのリスクが一段と高まります。戦争の現場はまさに殺し殺される命のやりとりで、そこには抑制機能は働きようがありません。くらしと人権、経済はすべて戦争遂行に従属させられ、自然環境も歴史・文化史跡の保全もあり得ません。
私たちは、地震列島、火山の国に住み、そのリスクの下で生活を営み、またその恩恵で生活に多様な彩りも得ています。戦争加担でさらなるリスクを強いるのではなく、自然の営みによる“リスク”を最小限に抑え自然豊かな生活環境を守ることこそが、この国の為政者が為すべきことです。
権力を憲法で縛る立憲主義に背き、国民のこれだけの反対を無視し、「平和安全法案」などと偽って国会の多数で暴走する政権は民主主義国家で許されません。多くの世論とともに“廃案”を強く求めます。(2015年8月7日)